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インターナショナルな司法面接

いじめ,虐待,事件,事故・・。様々な事態で,「何があったか」の調査が必要になる。しかし,子どもから話を聞くのは容易ではない。あざをつくって登校してきた子どもに「叩かれたの?」と尋ねれば,子どもは「うん」と答えてしまうかもしれない(本当は物が当たったのかもしれないのに)。「何回叩かれた?」と尋ねれば「3回」と,当てずっぽうで数字を答えてしまうかもしれない(何回の「何」には数字を入れたくなる)。これでは,事実を正確に把握することは難しい。

こういう聞取りに用いることができる,司法面接,という面接法がある。誘導や暗示のない正確な情報を,できるだけ負担なく話してもらい,ビデオカメラで記録する。

面接者はまず,子どもに挨拶し,面接についての説明を行う(録画することなど)。続いてラポール(話しやすい関係性)を築き,面接でのお願いごと,例えば「質問の意味がわからなかったらわからないと言ってください。」「知らないことは知らないと言ってください。」などを伝える。そして,思い出して話す練習(「朝起きてからここに来るまでにあったことを最初から最後まで全部話してください。」)を行なったのちに本題に入る。

本題では,「何をお話しに来ましたか」とオープン質問で会話を始め,「うん,うん」「それで」「さっき言ってた(子どもの言葉)のことをもっと話して」と,本人の言葉で最大限話してもらう。選択式の質問や,WH質問はできるだけ使わない。こういった方法で話を聞くことで,より正確な情報をより多く得ることができる。

Lamb博士らが作成した司法面接のガイドライン「NICHDプロトコル」は,日本も含め広く用いられている(NICHDは米国の機関名,プロトコルは手順書,である)。http://nichdprotocol.com/the-nichd-protocol/には,英,日,中,仏,独,伊,露,インドネシア,オランダ,ギリシャ,ジョージア,スエーデン,スペイン,スロヴェニア,ブルガリア,イスラエル,ポーランド,ポルトガル,ラトヴィア,ローマニアなど,多くの言語での訳を見ることができる(私たちもこのサイトの運営に携わっています)。国や文化は異なっても,正確な情報を負担なく話してもらおう!という心は一つである。
(仲 真紀子)

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