コラム
大学生
私は大学の心理学部に勤務していますが、何年か前、入試の面接で、「将来は法務教官になりたいです。」という受験生に初めて出会い、高校生なのによくそういう職業があることを知っているなぁ、と驚いた記憶があります。家庭裁判所調査官は昔からある程度の知名度があるように感じていましたが、法務技官や法務教官という職業は、世間ではあまり知られていないのではないかと思っていました。しかし、あくまで個人的な印象ですし、犯罪心理学系の科目が多い本学だけの特殊事情なのかもしれませんが、近年、法務技官や法務教官を志望する学生が増えてきた印象があります(ちなみに女性も多いです)。彼らに、どうやって法務技官や法務教官という職業を知ったのかと尋ねてみると、進路の情報をネットで調べていてこの職業を知った、というケースが多いようでした。
学部のゼミでも、私が法務技官出身ということもありますが、以前に比べて法務技官や法務教官になりたいという学生が増えてきており、夏や春に実施されている少年鑑別所や少年院のインターンシップに申し込む学生も増えました。1年生のうちから「インターンシップに参加したいのですがどうしたらいいですか?」と質問してくる熱心な学生も少なからずいます(ちなみに、ほとんどの施設の受け入れ対象は3年次生以上となっています)。
自分の大学時代を振り返ってみると、4年生になるまで将来についてほとんど何も考えておらず、まして高校生のうちから将来のために職業の情報を調べたことなどなかったので、それに比べて、最近の高校生や大学生はしっかりしているなぁと感心します。これはきっと高校までのキャリア教育の成果なのでしょう。ここで高校生の視点に立ってみると、前述のとおり、犯罪心理学や非行の問題に関係する仕事を調べようとすると、インターネットの情報に頼ることが多くなるだろうと思います。ところが、こうした職業に関する公式な情報が高校生にとって分かりやすいか、と言われると、頷くのを躊躇する、というのが正直なところです。情報の正確性を重視しているのは十分理解できるのですが、せっかく早い時期から関心を持ってくれる人がいるのですから、仕事の内容をイメージしやすくする工夫がもう少しあってもよいかもしれませんね。 (古曵牧人)