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書籍紹介

すばらしきアカデミックワールド(越智啓太著、北大路書房)

人間の何気ない、しかも、もしかして何千年も保持してきた不思議な(でも分かるような気がする)習性、様々な動物の意外な共通点と相違…。人によっては「そんなもの!科学的に立証することが、そこまで大事かな?」と思ってしまうようなことも、こんなにたくさん科学論文になって世に出ている。…この衝撃の事実。これを伝えたくて、この掲示板を使います。

良書の条件には、ためになる、深く考えさせられるなど、いろいろありますが、読んでいて面白い、愉快だ、というのが私はとても大切だと思います。そして、この本は間違いなく面白いのであり、それゆえ、ここで紹介する価値があるのです。

慣れない最初の数十ページは、電車の中や静かなカフェ等では読まないことをお勧めします。吹き出して思わず声をあげて笑ってしまうかもしれないからです。私は家で読んでいたので、大声で笑うことができました。

本書では、著者の越智先生の言葉を借りれば世界の「オモシロ論文」が山のように紹介されているのです。例えば、「赤いユニフォームの選手は勝ちやすい」、「ロマンス小説愛読者は、コンドームを好まない」、「金持ちは横断歩道で歩行者に道を譲らない」などなど。これらが大真面目に、科学者の目で研究されています。科学的研究なるものは素朴な問いを実証・検証するものですし、時にはそれが(その時代には)いささかバカげていると思われるものであっても、未来へ向けての先駆的研究になるかもしれないと思わせる魅力に満ちています。そして、研究者自身が、面白いと思って行うがゆえに、読み手にも関心を持ってもらえるのではないでしょうか。

「学術研究」、「専門的論述」「科学的視座」などと書くと、とりわけ経験の浅い人は、しり込みしてしまいがちです。私も、そうです。しかし、本書を読むと、こんなことまで研究として成立し、論文化されているなら、私の研究が犯罪心理学の領域の隅っこにあったっていいよな、と少し励まされます。加えて、随所にちりばめられている個性的なイラストがまたいい味を出して、読者を刺激します。

この広い世界の中には、まだまだ解けない謎がたくさんあり、それらの解き明かしたいという純粋な探求心から生まれる研究は、やはり尊いですよね。さぁ、第60回大会まであと少しです。今年度も、魅力的な研究にたくさん出会えますように…。(門本 泉)

 

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